「つくる人」と「つかう人」のこだわりを追求する

tsumug edge

Twitter仲間の誘いでジョイン、今では開発の全行程に関わるーーシニアエンジニア椚座淳介:tsumug historie

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前回はtsumug(ツムグ)でシニアエンジニアを務める椚座淳介(くぬぎざ・じゅんすけ)の現在につながるバックボーンを幼少期から振り返りました。今回は、tsumugでの働き方や椚座が見据えるシェアリングとtsumugの未来をお届けします。
リモートワークOK、それでもコミュニケーションは欠かさない

tsumugはリモートワークが可能で、スタッフは全国各地に散らばっています。とはいえ、エンジニアの多くは東京で仕事していて、私も日々、秋葉原のDMM.make内のオフィスに通っています。物理的なモノが存在しないソフトウェアと違い、ハードウェアの開発では物理的制限もあるため、結局はオフィスへ足を運ぶことが多いです。それに私自身、直接コミュニケーションを取りながら仕事をしたいという思いもあります。

設計、開発、生産......TiNK開発のすべてに携わる

tsumugでは、ハードウェアの設計・開発、工場での生産と、TiNK(ティンク)が完成するまでの流れの全てに関わっています。その中でも主に電気・通信周りの技術を担当しています。また、TiNKだけでなく、メルカリのグループ企業が手掛けるシェアサイクルサービス「メルチャリ」用ロックの電子回路や通信周りも担当しています。

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tsumugが開発するコネクティッド・ロック「TiNK」

オフィスでの開発・設計などの仕事に加え、工場での生産についても、基板の検査やファームウェアの書き込み、通信関係などで見るべき仕事がたくさんあります。

TiNKの生産工場は大阪にあります。シャープから量産支援を受けているからです。大阪にあるシャープの工場を紹介してもらいました。シャープ自体はさまざまな製品で中国の工場も使っていますが、スタートアップの私達が最初の製品の立ち上げを海外で行うのはハードルがとても高いため、国内で生産しています。

「製品の故障率や修理率を限りなく低くするために国内生産することを決断した」と、私をtsumugに誘ってくれた青木和律さんも話しています。

「日本国内生産のほうが精度が高く、そして生産ラインとのコミュニケーションがとりやすい点、また海外生産だと品質の担保ができず、かなり精密な製品のため、交換対応しかできないので、結果コストも高くなるためです」(青木さん)

TiNKは「Made in Japan」なのです。

10万以上のツイートがtsumug転職のきっかけに

tsumugのメンバーの多くは知り合い経由で参加しています。

弊社に限らず、スタートアップの初期メンバーは知り合いが中心になっていると思います。私達も、知り合い、もしくは知り合いの知り合い、さらには知り合いの知り合いの知り合いなど、基本的には知人ベースでの集まりです。

私自身、tsumugの説明を聞いて興味を持ったので参加を決めました。

ただ、私の場合は実はリアルでの知り合い経由というわけでもありません。私を直接誘ってくれた青木さんとはTwitter仲間でした。

Twitter(私のアカウントはこちら@kunukunu)は2010年3月に始めて、現在までに10万以上ツイートしてきました。プライベートはもちろん仕事のことについても積極的にTwitterでつぶやいてきましたが、それは前職の頃も同じです。

青木さんもTwitterを積極的に使っていて、お互いにコミュニケーションを取っていました。そのため青木さんは、私がどんな人間で、どのような仕事をしているのかを知っていたわけです。

私達に限らず、エンジニアには横の繋がりが結構あるように思います。勉強会などで知り合うこともあるでしょうし、同業者同士SNSで繋がることもあります。私と青木さんの関係は後者でしたが、実は過去を振り返ってみると、必ずしも青木さんだけがtsumugとの繋がりというわけでもありませんでした。

社長である牧田恵里さん、取締役の小笠原治さんとも顔見知りでした。さくらインターネットが手掛けているIoTプラットフォーム「sakura.io」の通信モジュールの設計を前職のエイビットが請け負っていて、私はその担当でした。小笠原さんはsakura.ioのプロジェクトを率いていて、さらにはDMM.makeのプロデューサーでもあります。tsumugにも最初は投資家として、現在は役員として参画しています。

sakura.ioの打ち合わせで秋葉原のDMM.makeによく行っていましたので、その時代から小笠原さんとは仕事をご一緒していたことになります。また、tsumugの東京オフィスもDMM.make AKIBAにありますので、牧田さんとも顔見知りでした。

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tsumugもオフィスを構えるDMM.make AKIBA

直接的な誘いは青木さんから2017年の夏に受けましたが、実は小笠原さんも牧田さんも知っていましたので、全く何も知らない会社だったわけでもなかったわけです。

結局、約10年在籍したエイビットを退職し、tsumugへの参加を決断します。決心した理由は、さまざまなタイミングが合致したことだと思います。

1つはtsumugがやっていることに関心を持ったことですが、私自身、新しいことをやりたいタイミングでした。そう思っているところにtsumugの話が来て、非常に興味を惹かれる内容だったのでチャレンジしよう! と思ったんです。

もともと「10年経ったら何か違うことをしよう」という気持ちがありましたが、だからといって必ずしも10年で辞めると決めていたわけでもありません。ちょっとモヤモヤした状態だったかもしれません。

物欲が減り、シェアリングエコノミーに関心

tsumugの事業に関心を持った理由も自分自身の考え方の変化によります。

私は以前、総額で100万円にもなる自作PCを使っていましたが、現在は場所に縛られないノートPCに完全移行していますし、そもそも歳を重ねるごとに物欲が減ってきました。

ちょうどシェアリングエコノミーへの関心が高まっていたのです。物を所有して使うことから、必要な時に必要なものを適正な値段で借りられればいい。そんな考えに変わってきました。

昨今、シェアリングエコノミーの認知度も高まり、関連サービスも増えてきました。先ほど述べたメルチャリのような自転車のシェアリングサービス、クルマのシェア、パソコンのシェア、場所のシェアと、さまざまな企業がシェアリングサービスに参入しています。

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tsumugのTiNKでは「鍵」をシェアします。鍵はその物の所有権・使用権を与えるためのものです。不動産の場合は、その家や部屋へ入る権利を鍵が握っています。シェアハウスなどに設置した場合、利用者間で鍵もシェアします。弊社が作っているのはTiNKというハードウェアというよりも、視点を広げて見れば、鍵をシェアするプラットフォームとなります。

結局のところ、シェアリングエコノミーへの関心が高まっていたところに、tsumugがやっていることがマッチし、自分も関わりたいと思ったのです。

ハードウェアは100点か0点、直しはきかない

先ほど「プラットフォームを作っている」と書きましたが、もちろんそのプラットフォーム上で動くハードウェアも作っているわけです。

このハードウェアの開発には避けて通れない難しさがあります。どのメーカーも共通した悩みだと思いますが、ハードウェアは1回世に出てしまうと直せません。100点か0点の世界です。

語弊があるかもしれませんが、ソフトウェアの場合は後からでも直せます。クラウドサービスならソフトウェアは顧客の手元ではなくサーバー側にありますから、いつでも自由に直せます。ところがハードウェアではそうは行きません。致命的な不具合が出たらお詫びしてリコールするしかありません。

そのため不具合の洗い出しは徹底的に行い、品質確保に注力しています。しかし、無制限に検証できるわけでもありません。時間と予算は有限ですから妥協点を見つける必要があります。こうした部分がハードウェアならではの難しさで、悩みどころです。

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一方でハードウェアならではの嬉しい魅力もあります。最初の製品が工場で生産された時の喜びは何物にも代えがたいものです。また、お客様のもとで実際に使われているところを見ると、頑張った甲斐があると感じます。

ハードウェアには、形として世の中に残るという大きな魅力があるのです。

埋もれている資産、シェアで生き返らせたい

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およそ10年周期で新しい場所に移り、新しいチャレンジに取り組んできましたが、tsumugに参加した現在の目標は、TiNKが幅広く使われることです。

例えば、世の中には空き家がたくさんあります。そうした資産をシェアリングという形で有効活用できる世界にしていければと考えています。所有ではなくシェアという形で、埋もれている資産を生き返らせることができれば素晴らしいと思います。

実際には法律や規制なども絡むため一筋縄では行かない部分もあると思いますが、空き家に限らず何らかの時間貸し事例はさまざまに考えられます。それを追求していきたいと思っています。

私達は現在ハードウェアを作っていますが、それは必要だから作っているだけに過ぎず、プラットフォームを普及させていくことが目標です。その第1弾としてTiNKの立ち上げを成功させていきたいと思っています。(終わり)



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