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IoTグッズから、ロボット、食べ物までーー世界中のメイカーが集るビッグイベント『Maker Faire Bay Area 2018』:MFBA参戦レポート

株式会社tsumugが提供するコネクティッド・ロック「TiNK(ティンク)」は、まさに日本のものづくり技術の結集だと言っても過言ではありません。 では、世界に目を転じて、海外はどうなっているのでしょうか? そんな世界のメイカーのツワモノが一堂に会するイベントがあります。米サンフランシスコで毎年開催される「Maker Faire Bay Area」です。 今回は、そんな「Maker Faire Bay Area」に出展している田中健太郎さんに、Maker Faireの魅力について聞いてみました。

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Maker Faire Bay Area2018の会場。この日は天気も良く、参加者も盛況だった

こんにちは、田中健太郎(@ikntk)です。

僕はハードウェアのエンジニアになるために、3年半前に福岡から渡米しました。
現在は学生をしつつ、「CPT」(Curricular Practical Training、学生就労ビザ)で働きながら、開発もしている、といった生活を送っています。

留学生活1年を過ぎたころ、「Maker Faire」という個人のハーウェア・オタクやスタートアップ企業などが、プロトタイプや製品を一般向けに展示するイベントの存在を知りました。

1年目は、知り合いのブースの手伝い、2年目から、個人のブースで自分のプロトタイプを展示し始め、3年目である今回のMaker Faire Bay Area 2018(以下、「MFBA2018」)では、賞をもらえるまでになった僕が、以下の点を中心にMaker Faireの楽しさを掘り下げていこうと思います。


  • 今年行なわれたMFBA2018はどんなものが展示されていたのか
  • 僕はどんなものを展示したのか

「Maker Faireっていう存在は知ってたけど、ギーク臭がすごくて避けてた人」や「これから個人や会社で出展を考えてる人」に読んでもらえると嬉しいです。

Maker Faireの特徴

僕自身、Maker Faireに初参加したときは、Maker Faireがかもし出す“圧倒的ギーク臭”にビビってしまいました。というのも、「これ何を出展してるの?」と聞くと、7割くらいの人から5分以上ずっと楽しそうに説明されてしまうからです。

でも、自分でブースを持ち始めてから分かったのは、僕自身、同じような質問をされると、同じように楽しく説明してしまう、ということです。
この「自分が作ったものをながながと説明してしまう」というエンジニア特有の雰囲気が、Maker Faireを楽しくさせる要因だと思っています。

そして展示者の目線からいうと、(僕の作品もそうですが)素人丸出しの展示物でも、ちゃんと動きさえすれば「It’s cool!」から会話が始まるので、否定から入りがちな日本企業文化とは、少し違った印象を受けます。
どんなものでも受け入れてくれるアットホームな環境も、Maker Faireの特徴のひとつだと思います。

どんなものが出展されているか

では、さっそく今年のMFBA2018でどんなものが出展されていたか、見てみましょう。

スタートアップ・エリア

「Zone2」と呼ばれるスタートアップや企業を中心に展示しているエリアには、スタートアップらしい製品がたくさん展示されていました。

下の写真は、毎年恒例の大きなスペースを使ってレゴを用いた町を展示しているチームです。

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レゴのブースは毎回大がかりな展示が多く、多くの参加者の視線を釘付けにする

3Dプリンターで作った人体模型のようなものや、粘土を用いたセラミック・プリンターも展示されていました。

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3Dプリンターで作ったロボット(左)とKickStarterの展示のひとつ、3D Potter(右)。どちらも子どもは興味津々

またエリア内には自作のR2-D2が走り回っています。

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自作のR2-D2、毎年恒例の展示物のひとつ

ダークゾーン

「ダークゾーン」と呼ばれるエリアは、光り物の展示物のために、部屋全体が真っ暗になっています。 「パックマン」や「テトリス」といったゲームなども展示に使われていて、そこで遊ぶことができました。

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球体にプロジェクションマッピングされたゲームなどがあったダークコーナー

建物の”外”

MFBAの特徴は、なんといっても外にも多彩な展示品があるとことです。

以下は、バイクを漕いで電力を作ろうというものです。

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生バンドに合わせながら自転車を漕ぐ子供たち

外の展示品は比較的大きなものが多く、MFBAの目玉として、多くの人を魅了していました。

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人が操作できる大きな乗り物も(左)。右は子供達が回るとサメも泳ぐように回る遊具

フード

Makerはハードウェア・オンリーというわけではありません。食べ物を作る人もメーカーに含まれるのです。 彼らは試食を提供することで、自らの製品の美味しさをアピールしています。

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Dandelion Chocolate:SFにある有名チョコレート店、CACACO:Santa cruzにあるチョコレートドリンクのお店。手作りのジャムやオイルなどを売っているFamers marketのようなエリアに出店していた

アクセサリー

食品を売る人がいるなら、オリジナルのアクセサリーや洋服を売っている人たちもいます。

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野外にある服飾店の展示、販売コーナー。Maker のオリジナル帽子と服があった

Nintendo Labo

今年のMFBA2018で最も人気を集めたのは、おそらく「Nintendo Labo」だったのではないでしょうか。
あのダンボールとNintendo Switchを使ってゲームを全身で楽しむことができる「Nintendo Labo」を体験できるとあって、2時間待ちで中に入るのはとても困難でした(僕は諦めました)。

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今年の目玉であるNintendoによる展示。多くの人々の注目を集めた

Maker Faireに訪れる客層として一番多いのが、家族で来るパターンです。
子供にいろいろなものを触れさせたい、というエンジニア・パパに連れられてくることが多いです。
「さすが、シリコンバレー」と思ったのは、子供も製品に触れた後、けっこうディープな質問してくるということです。こういった、子供も大人も巻き込んでいく体験型のブースには、いつも人だかりができていました。
彼らは実際に体験し、学び、自分の知識にしていくのです。

MFBAに出展するには

企業や個人でも製品の販売をする場合、ブースには料金が発生します(ブースの広さによる)。
が、単に個人で展示する場合は、ブース代は無料です。僕は去年に引き続き、無料のブースで出展しました。

出展した物

僕が何を出展したかというと、去年も出展した「有線の骨伝導メガネ」と、今年改良を加えた「Bluetooth付き骨伝導用PCB」の2点でした。
骨伝導とは、音の振動を頭蓋骨を通して直接蝸牛(うずまき菅)に伝えることで、鼓膜を使わずとも音が聞こえる、というものです。
つまり、鼓膜に異常がある難聴者でも音が聞こえるという特徴をもっています。実際、去年と今年のMFBAを通して、15名の難聴者に会いましたが、13人から聞こえたというフィードバックをもらいました(他2名は蝸牛がなかった)。

彼らは音をただ増幅させるだけの既存の補聴器に不満をもっていて、より音がクリアに聞こえる骨伝導を体験して、その可能性を彼らは感じたようです。
もちろん、健常者でも耳を塞いでこのデバイスを使えば、頭の中で音がなっているような体験をできます。
右上の写真の彼のように、骨伝導を始めて体験した方々が「なんだこれ!すげー!」って言ってテンションが上がる様子は、作り手としてとても幸せでした。

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今回の僕のブース。周りにはハードウェアの大企業ArduinoやDigi-Keyが並ぶ。

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展示した有線骨伝導のプロトタイプとBluetooth付き骨伝導PCB

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骨伝導サングラスを実際試した人の反応。

そして、このBluetooth付き骨伝導用PCBが、出展者の中から特に優れた出展者に贈られるBlueRibbon賞を受賞しました。これは全体の5~10%の出展者しかもらえない賞です。
写真右の彼女が、今回の賞の受賞を知らせてくれたEditor(編集者)です。

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ブルーリボンを受賞した際に編集者と撮った写真

今後の予定

これからはお会いした難聴者やエンジニア師匠方のフィードバックやアドバイスをもとに製品自体の品質(音質や音量)の改良や骨伝導を用いた補聴器などの開発を進めていこうと思っています。

生きた情報が得られる

MFBAの雰囲気を少しはお伝えすることができたでしょうか?
シリコンバレーでのスタートアップに興味のある人、エンジニアリングに興味のある人は、この場所を訪れると、すごく生きた情報を得られると思います。
興味のある人は、来年ぜひ!


文:田中健太郎(@ikntk)
写真:Joseph Romani

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