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作るだけじゃない。他の参加者や来場者と交流できる国内最大級のメイカーイベント:出展者からみたMaker Faire Tokyo 2018

株式会社tsumug(ツムグ)が提供するTiNK(ティンク)のように、IoT製品を作っているものづくりの人はたくさんいます。 そんなものづくりの人たちが一堂に会するイベントとして国内最大級なのが、毎年夏に開催される「Maker Faire Tokyo」です。

ここでは、今年の「Maker Faire Tokyo 2018」に出展した「ThousanDIY」が、出展者側の視点で良かったところや実際に苦労したところなどを紹介します。

Maker Faire Tokyoについて

Maker Faire Tokyo(以下、MFT)は、オライリー・ジャパンが主催する、スタートアップ企業や個人が作ったものを一般に公開できる日本最大級の「メイカー」ムーブメントのお祭りです。 2017年の出展者450組から2018年は出展者600組に拡大、2万人以上の参加者が会場である東京ビッグサイトに集まりました。

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2018年は8月4日(土)~8月5日(日)の2日間にわたって開催

「お金をかけなくても楽しめる」電子工作を展示したい:MFTに出展を決意

今年開催されたMFT2018に、「ThousanDIY」として個人で出展したので、「MFTの応募から出典当日の様子」について、出展者側の立場からレポートしようと思うのですが、その前に、まずなぜこのイベントに応募しようと思ったのか、そのきっかけからお話しします。

私は普段、電気メーカーで設計の仕事をしつつ、個人では「ThousanDIY」という名前で自作のシンプルな開発ボードや中国から安く買えるマイコンを使った、"1000円で出来る電子工作"を目標として活動をしています。

以前、リクルート社が運営する「MakersHub」という個人作品を発表するサイトがありました(2017年に終了)。そして、そのサイトに投稿された作品を集めて展示する「MeetUp」が2015年に開催され、そこに見学に行ったときのことです。

そこにはたくさんのメイカーが集まっていて、そこで「ヒャッカソン」という100円グッズを使った作品を投稿している人たちと出会いました。それが、電子工作にのめりこんだきっかけです。
大人が真剣に、そして楽しそうに100円グッズで作った作品を見て「自分のやりたかったのはこれだ」と思ったことを覚えています。

当時レゴ・マインドストームなどの工作キットは高価で、「誰でも気軽に買える」状況ではなかったので、「お金をかけなくても楽しめる」ように、”1000円あれば電子工作"を目標に、電子工作用の小さな基板を作ってサイトで紹介・頒布を始めました。

その後、いろいろなイベントでMFTの出展者の何人かと知り合い、話を聞いているうちに「やっぱり自分も作品をMFTで展示したい」と思い、応募に至ったというわけです(実はMFT2017に応募したのですが、見事に落選しています)。

MFT2018に応募するにあたっては、昨年の落選から”Webサイト”の充実と、 基板ではなく”わかりやすい動く作品”を意識して少しずつ準備を進めてきました。

MFTの出展スケジュールと出展区分

出展スケジュール

MFTの準備は「出展応募」から始まります。今年の日程は以下でした。


出展応募締め切り 2018年5月2日(水)
         ↓
選考結果の発表 2018年5日31日(木)
         ↓
出展内容調査シートの提出 2018年6日15日(⾦)
         ↓
本番 2018年8月4日(土)~8月5日(日)


出展区分と出展料

出展区分は「Maker」「Commercial Maker」「企業出展」の3種類があります。
個人で出展する場合は物販の有無で「Maker」「Commercial Maker」のいずれかを選びます。


  1. Maker
  2. 個⼈またはグループの出展で、会場内で物販を行わない場合。出展料は無料。
  3. Commercial Maker
  4. 個⼈またはグループの出展で、会場内で物販を⾏う場合。出展料は基本スペースあたり21,600円。

MFTへの応募

私は、物販を行わない「Maker」で申請しました。
申請内容は「開発ボード」とそれらを使った「動く作品」とすることにして、Wi-Fi+BLE対応の「ESP-WROOM-32」を使った、以下の2作品に絞り込むことにしました。


  • トイドローン用のオリジナルコントローラ
  • クラッピーと鬼ごっこ(タミヤのカムプログラミングロボットのラジコン化)

応募にあたっては、例年は「出展内容の説明」のほかに、


  • 1つ以上のウェブサイト
  • 1枚以上3枚までの写真
  • 1個以上3個までの動画

が必要となります。

そこで、「ウェブサイト」は、現在運用しているFacebookページを応募用に手直しました。

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ThousanDIYのFacebookページ

また、動画と写真についてはSNSへの投稿やハッカソンのプレゼンから選びました。

こうして、あとは「選考結果の発表」で受かっていることを祈るだけです。

出展内容のブラッシュアップ

選考の結果、無事「出展申請当選」の連絡が来ました。

出展が確定すると、事務局から「出展者向け情報ページ」の連絡がくるので、必要事項を記入します。

今回は会場でのWi-Fi制御が不安定という情報もあり、危険のある「トイドローンコントロール」の出展は中止して、「クラッピーと鬼ごっこ」を中心に展示することに決めました。
そしてそれを記入して「出展内容調査シート」を提出。

出展の事前準備

出展内容が決まったら、出展作品の準備を進めます。出展作品の準備状況は、SNS(Facebook, twitter)で随時発信していきました。

次に重要なのが「仲間探し」です。
MFTでは見学者が途切れることなく訪れるので、一人だけだと、食事やトイレもいけない状態になります。

今回の出展作品は以前ハッカソンで作成したものを改善したものなので、そのときのメンバーである「ウズキアオバ」さんと、その知り合いの学生さんに声をかけて、一緒にブースを運営することにしました。

出展作品の準備と並行して、当日のブースの出展内容説明の資料も準備します。
展示する「クラッピーと鬼ごっこ」は、最終的に「Clappy Park」という名称で「ウズキアオバ」さんとの連名としました。

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出展内容の説明資料

出展当日の様子

出展作品の搬入は前日の8/3(金)の15:00-19:00と初日の開場前のである8/4(土) 9:00-12:00 に行ないます。

出展の搬入については専用の「JITBOX チャーター便」を使用することもできます。今回は仕事の関係で、当日の午前中の搬入となりました。

出展作品の搬入と設置

下の写真は、当日の朝の搬入時の会場の様子です。
多くのブースもまだ準備中で、入り口に展示される風船のメイキーくん(MakerFaireの公式キャラクター)もこれから作り始める、といった感じです。

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初日朝のメイキーくん

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開始前の会場の様子

出展ブース(H11-04)に到着、展示の様子をツイートしつつ、準備を進めました。

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設営準備中

「ThoudanDIY」のブースの展示準備も終わって、デモの最終確認と細かい調整をしつつ、いよいよMFT2018のスタートです。

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いよいよ開場。最終確認に熱が入る

本番スタート

今回展示した「Clappy Park」は、まず、ESP32というマイコンを使って、タミヤのカムプログラミングロボットをBluetoothでコントロールできるようにします。
そして、iPhone X上の画像認識で「クラッピー度」(クラッピーと形が近いかどうか)を判別し、「パチパチクラッピー」と認識すると追いかけていくという、ある意味技術の無駄使いのような作品です。

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開場直前に「クラッピー認識」が正常動作する事を最終確認

開場すると、私たちの展示ブースにも多数の来場者が見に来て、デモを楽しんでいました。

特に、題材に使った「パチパチクラッピー」は、そのとぼけた顔と「レバーを押すと拍手する」という単純でだけど癖になる機能が、子供たちに大人気でした。

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ロボットより、クラッピーが気になる模様。なんか複雑な心境。

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無事クラッピーを認識して動いた!!喜んでもらえて嬉しい!

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テーブルから落ちるのを防止するのに、急遽「止まれ」の認識機能を現場で実装しました

出展者同士の交流

出展者同士の交流も、かなり自由に許されているのがMFTの特徴です。
その中でも、印象に残ったものを2つ紹介します。

メイカーパレード

当日は、「光るもの」や「ウエアラブル」な展示を行っている出展者があつまり自主的に「メイカーパレード」が行なわれ、他の出展者や来場者も巻き込んで盛り上がりました。

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メイカーパレードの愉快で素敵な参加者の皆さん

出展者同士のコラボ

自分の展示と関係しそうな作品をみつけて、急遽出展者同士での自由なコラボレーションが始まる、というのもよく見られる光景です。
今回は「リモコンで操作するクラッピー」を展示されていた方の作品と、私たちの展示ブース前で急遽追いかけっこがはじまりました。
実施に画像認識してクラッピーを追跡する様子は、とても楽しく効果的な展示となりました。

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リモコン操作で逃げるクラッピーを画像認識してクラッピーを載せたカムロボが追いかけるというシュールなコラボ

出展を終えて

今回の出展によって、普段SNSやオンラインでおみかけしている「メイカー」の方と、お互いの作品に直接触れながら意見や感想、いろいろなノウハウや苦労などを情報交換することができました。
お互いがどのような作品を作っているかが見えるので、単に参加したときよりも近い距離感で話をすることができて、かなり濃い話もできました。

当日のMFT参加者からもいろいろな感想をいただき、大変有意義な2日間だったと思います。
そして、出展することで自分の作品や活動の内容・特徴を客観的に整理するきっかけにもなりました。

忙しくて大変な面もありますが、得るものは大きいので、興味のある人は来年は、ぜひチャレンジしてみてください。

文・写真:Masawo Yamazaki

電子回路設計エンジニア兼クラッピーチャレンジャー。単身赴任で時間が余って始めたはずの電子工作なのに、気が付いたらイベント参加や電子工作で忙しく寝不足に悩んでいる。毎月のように中国へプリント基板を発注し実装しきれない積基板が増えているのが最近の悩み。趣味は100均巡りとAliexpressでのガジェットあさり。好きな基板色は黒、最近はM5Stackにはまっている。

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