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福岡だからできる!? スタートアップと政治の新しい関係:tsumug Tech Day 1st

物理カギに代わるコネクティッド・ロック「TiNK」シリーズを手がける株式会社tsumug(ツムグ)が2月20日に福岡市で「tsumug Tech Day 1st」を開催。エンジニア向けとしては初めてのイベントでしたが、地元福岡をはじめ各地から定員を大幅に超える80人の参加者が集まりました。

福岡だからできる!? スタートアップと政治の新しい関係

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平日の夕方にも関わらず、約80人の参加者が集まりました
会場は福岡の「Fukuoka Growth Next」。閉校になった小学校を活用して生まれた官民共働型のスタートアップ支援施設で、業種問わず40を超えるスタートアップがオフィスを構えており、イベントスペースやDIYスタジオ、カフェ、さらにはバーまでも併設しています。

tsumugもここを本社に製品開発を行っているスタートアップ企業の1つです。

平日夕方にも関わらず、会場は満席でイベントの注目度の高さが伺えます。ハードウェアエンジニアに限らず、ソフトのエンジニアやスタートアップ経営者などIoTに関心のある人たちが参加しました。

まずは、tsumugの牧田恵里(まきた・えり)社長の挨拶でオープニングセッションが始まります。

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オープニングセッション「福岡でテックスタートアップがうまれる意義」では、スタートアップと政治の関係について、tsumugが福岡で事業をスタートさせた理由にも触れながらディスカッションしました。登壇者は牧田(tsumug社長)、高島宗一郎さん(福岡市長)、小笠原治(tsumug取締役)の3人です。


福岡の高島市長はこう話します。
「スタートアップとはこれまでにない価値を生むことであって、その時に、これまでの法や規制が想定していない新しいサービスを社会で使えるようにしなければいけない。だから新しいサービスを産もうとするスタートアップだけは新しいルール作りを目指す政治と組まなければいけないんです。どんな社会であるべきかを決めるのが政治で新しいサービスや商品を生み出すのがスタートアップですから、この連携を強くすることが大切です」

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一方で、その難しさも指摘します。
「既存のマーケットで既得権益を持つ企業にとっては、新たなマーケットを生み出すスタートアップは敵になってしまう」(高島市長)

だからこそ、福岡市のようにスタートアップのチャレンジを支援してもらえる体制が整っている場所でチャレンジできることに意義があると小笠原取締役は話します。

「今後、モノとアプリケーションを組み合わせたサービスがたくさん出てくるはず。モノ主導で進めていくならば民間で動けば良いけど、サービスとの連携が必要ならば、影響範囲が広い。政治との対話を通じてチャレンジが重要なんです。福岡市はそういう意味でチャレンジがしやすい環境にありますね」

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元カレが不法侵入——TiNK開発のきっかけ

TiNKのアイデアはどのようにして生まれたのでしょうか。

「元カレに合鍵を渡していたら知らぬ間にコピーされていて、別れた後に不法侵入されたんですよ。その時に物理鍵の脆弱性に気づいたのがTinkをつくろうと思ったきっかけですね」(牧田)

小笠原取締役はTiNK創業前に、このエピソードを牧田から聞き、出資を決断したとのこと。

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「物理鍵の分野って日本ではいくつかの巨大メーカーがシェアを独占していて、世界的にも1兆円以上を売り上げる鍵メーカーが存在しているわけです。それをなくすってかなりチャレンジングじゃないですか。それをなくしたいって言ったんで、ちょっと面白いなと思って、出資を決断しました」(小笠原)

常識を覆そうとするTiNKの事業アイデアですが、TiNKという製品を世に広める上で、その社会的土壌ができていると高島市長は指摘します。

「少し前であれば、クレジットカードの情報をネット上に入力することにもかなり抵抗感があった。電子キーも同様にその安全性を疑問視する人も目立つ。しかし今このタイミングは良い」(高島市長)

IoTという言葉も世間的に認知が広がりつつあり、福岡という自治体側の受け入れ姿勢があることもTiNKを後押ししていると言えそうです。

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牧田社長は「少し前は、IoTデバイスを自分の生活をセンシングするということが言われていた。ただセンシングするだけでなく、それによって『自分の生活がより豊かになる未来』が見えないといけない。だからTiNKはデバイスを使ってもらうんですけど、使う先には必ずサービスがくっついている状態を理想としています。家事代行サービスや家族コミュニケーション、見守りなどサービスとつながるデバイスにしたいと考えています」と述べました。

官民一体となって事業アイデアを実現しようと連携する福岡市とtsumugは、今後イノベーションを起こそうと考えているスタートアップにとって先行事例を目指します。熱意のあるスタートアップが自治体を含めた周囲を巻き込んでいく熱量を感じたトークセッションとなりました。

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写真:集合写真家 武市 真拓 http://hiro.takechi.jp
文:ハシモトユウジ @rootroute1125

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