大人だってみんな悩む。だったら今やりたいことを仕事にしようと思った──フロントエンドエンジニア 長崎健斗:tsumug historie

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連載「tsumug historie」は、tsumug(ツムグ)のチームメンバーがこれまでどのような道を歩んできたかをひもといていく企画。

前回、今回の主役である長崎 健斗氏は、せっかく受かった東工大を2年で辞めてしまいました。その背景にはなにがあったのでしょうか。

東京で何も知らない自分に気づいた

東京って全国からいろいろな人が集まるじゃないですか。そこで初めて出会ったタイプの人も多くて、本当にいろいろな知らなかった話を聞けたんですよね。

さらに初めて一人暮らしをして、アルバイトを経験したり、貯めたアルバイト代で初めて海外旅行したりして、世界が急に開けた感じがしたんですよ。

そしてそんな中で「自分って何も知らなすぎるな」と感じることが増えたんです。自分の進む道を決めるのは、もっといろいろな世界に触れてからのほうがいいなと思うようになりました。そのうちに学校外の人と会ったり、学校外のプロジェクトに参加したりすることに時間をあてはじめて、大学にはあまり行かなくなってしまいました。

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そうするともちろん成績は下がるわけで……。東工大では2年生に進級するときにコース選択があるんです。そこで自分が専門的に学ぶコースを選ぶんですが、人気のコースに進むには成績がよくないとダメなんですよね。

僕は漠然とプログラマーになりたいなと思って東工大に進学したんですけど、結果的に僕は情報系のコースに進むことはできませんでした。

確かにプログラマーになりたいとは思っていたんだけど、それはあくまでも高校生のときに僕がもっていた範囲の情報からそう思っていただけで、それよりも今は自分が知らなかった世界を知りたいと思っている自分がそこにいました。

しかも東工大は95%の学生が大学院に進むので、社会に出るのは5年後。自分があまり興味を惹かれない分野の勉強をあと5年続けるか、別のことをするかと考え、だったら別のことをしたほうが楽しいよね、ということで大学を辞める決心をしました。

リゾートバイトで見えた、自分の身を置く場所の重要性

大学を辞めて、知らなかった世界を見てみようとしたのですが、それにはお金が足りないことにふと気づいたんです。そこで、まずはリゾートバイトをやることにしました。観光地などにあるホテルに住み込みで働くやつですね。

家賃も食費も抑えられるので、お金を貯めるにはぴったりでした。しかも、せっかくなら自分が行ったことのない県に行ってみようということで、3ヶ月スパンで働く場所を変えてみることにしました。

リゾートバイトで確かにお金も貯めることができたのですが、それ以外にも、働いてみた経験から見えてきたことのほうが、すごく印象的だったんですよ。福岡から東京に出て、東京でいろいろな刺激を受けて、いろいろ挑戦してみようと思って大学を辞めた直後のリゾートバイトだったのですが、ここでは逆に、今までに経験したことのない凝り固まった考え方をする人たちに触れたんですよ。

僕は派遣社員だったので、3ヶ月でその場を去ることができる立場だったので、率直に「いい経験ができたな」で済ませられたのでよかったのですが、現場には新卒で入社してくる人もいて、その人達の話や愚痴を聞いているうちに、自分の身を置いておく場所の重要性を痛感するようになりました。

リゾートバイトを通じて、実は僕、接客がめっちゃ楽しいと気づいたんです。ただ、リゾートバイトを必要とするような大きな旅館やビジネスホテルでは、お客さんに寄り添った接客をすることは難しいなぁとも感じ始めていました。

そしてここでは、自分が考えている接客のありかたを実現するのは難しいだろうとも思っていました。となると、場所を変えるしかないですよね。

場所を問わずどこでも働ける人たちとの出会い

そこで次に選んだのがゲストハウスでした。ゲストハウスは気軽に接客できますが、外国人など客層も広くて、ゲストごとに宿に求めていることって違うじゃないですか。ゲストハウスだとお客さんに寄り添った接客ができるんじゃないかなと考えたんです。

ゲストハウスで働くことを決め、いったん福岡に戻ってきました。そして福岡で働けるゲストハウスを探して、当時はまだオープンしたばかりの「Hostel TOKI(ホステル・トキ)」というゲストハウスで働くことになりました。

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ホステル・トキは、比較的小さなゲストハウスで、泊まれるのは最大16人くらい。その日のお客さんがどんな人かは全員把握できるくらいの人数で、お客さんともけっこうコミュニケーションをとれる雰囲気でした。

ゲストハウスには本当にさまざまな人が訪れるんですが、「場所を問わずにどこでも働ける人」がたくさん来るのがホテルや旅館にはない特徴だと思うんです。テレビ会議を使って言語や数学を教えていたり、リモートで働けるエンジニアだったり、場所を変えながら仕事をしている人がいっぱい来るんです。

この「場所を問わずにどこでも働ける人」たちと話せたのは、今の僕につながるすごく大きな経験で、僕もそういう自由な働き方がしたいと思ったんですね。そして、自分ならどんな分野の仕事がしたいかを考えていくと、やっぱりITの分野だなと思ったんです。気持ちが戻ってきた感じでした。

「大人でも悩む」だったら今やりたいことを仕事にしよう

この時点では、ITの分野で仕事をするにはまったく技術が足りません。専門的な勉強をしたわけではないし、やっていたことと言えばブログを書いていたくらい。学ばなければならないことが多いのはわかっていました。そして同時に自由に働くにはどんなことが必要なのかも知りたいと思っていました。

ちょうどそのときにTwitterを見ていたら、ベルリンでフリーランスとして働いているwasabiさんが、英会話学校や現地の日本人フリーランスエンジニアの方と一緒に「海外フリーランス養成スクール」をフィリピンのセブ島で開催することを知りました。

僕は前からwasabiさんのことをフォローしていて、フリーランサーとしての生き方の参考にしていたんですよね。そこで技術を勉強できることはもちろん、今フリーランスとして働いている人、そして今フリーランスとして働くことを目指して学ぼうとしている人の話を直接聞けるんじゃないかと参加することにしました。

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「海外フリーランス養成スクール」では、基本的なプログラミング、そしてフリーランスに必要なSNSなどを通じた情報発信などを2週間で集中的に学べたのですが、個人的に糧になったのは他の参加者との議論を通じて「大人でも悩む」ということを知れたことでした。

それまで僕のもっていた「大人」のイメージは「自分のやりたいことを仕事にしていて、自信満々に生きている」人だったんですよ。ただ参加者と毎晩ご飯を食べながら話をしていくうちに、どうもそれは違うぞというのが見えてきたんです。僕からすると「え? そんなこと、大人でも悩むの?」って話がそこにはいっぱいありました。しかも主催しているwasabiさんまで悩んでいることがわかったんです。

僕はそれまでずっと自分がガチでやりたいことを見つけるまで、なにかを定職にしてはダメだって考えていたんです。しかし僕がすごいと思う大人でも、自由に自分のやりたいことをして生きたいと日々悩みながら過ごしているらしい。だったらとりあえず今、自分が興味あることを仕事にしてみてもいいのかな。そしてまた別の興味のあることができたらそっちに移ればいいのか。

「大人でも悩む」ということから、そんな発想の転換が自分の中で起きたのです。そしてそのときに今、自分が興味があることってなんだろうと考えると、それはやっぱりプログラミングだったんですね。じゃあちゃんとプログラミングをやらなくちゃと思いました。セブでの経験は、大きな転機になりましたね。


文・写真:香月啓佑


長崎氏のtsumug historie 第1弾、第3弾はこちら
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