今年からSex Toyも!CESで見えてきた、スタートアップと大企業が手を取り合う未来:牧田が行くCES 2020

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世界中の最新家電や電子機器が集まる、世界最大級の見本市「CES」。そのCESに、今回もtsumug社長の牧田恵里が参加してきたので、その様子を本人がレポート。後編はスタートアップを中心に、今回参加して感じたスタートアップの未来像について考えます。



前編はこちらedge.tsumug.com

個人的に一番の注目はCESのポリシーが変わったこと

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CES 2020のAwardエリアに展示されていたCES 2019のSexToy

今回のCESで個人的におもしろかったことと言えば、これまでCESでタブーとされてきた「Sex Toy」の出展がOKになったこと。さらに今回はCES Awardも取っています(写真)。

「Sex Toy」については前回のCESのときに、ロボティクスカテゴリーでAwardを取ったLora DiCarloのデバイスが、Sex Toyだとわかった途端にAwardが取り下げられてしまうという事件がありました(WIREDの記事が詳しい)。その後、Lora DiCarloとCTAの間で話し合いがもたれ、今回のCES2020で当時のAwardをLora DiCarloに返還。彼女の展示がCESに戻ってきただけでなく、他のSex Toy関連企業にもチャンスが与えられるきっかけとなりました。

今回のLora DiCarloの展示ブースには、セッションブースも併設されていて、“性的健康と健康について健全で開かれた会話をすべき”などのセミナーも行われていました。SexToyの'展示を見る人たちは、その技術について会話をしていて、CESの中で“性”についてインターナショナルに考えさせられる場となっていきそうです。

Sands会場には他にもSex Toyの出展企業があり、アプリケーションとの連携を説明する動画を見せてくれたり、ルーレットでSex Toyを配るなどの演出で盛り上がっていました。

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性に関してセッションをしている明るい女性たちと、その展示エリア

トヨタ自動車のスマートシティ構想

5年前にスマートホームのエリアを見たとき、正直「こんなセンサーだらけの空間で生活するのはイヤだ」と思い、実際に快適に生活をする体験がイメージできませんでした。CESでは、ほとんどが新製品1つの技術的な説明と使い方をデモするものが多いため、“体験”するのも、その単一製品のユーザー体験となってきます。

今回トヨタ自動車の“Wovn City”の展示を見たとき、複合的な技術による未来の生活空間の“体験”を感じました。トヨタ自動車ブースの真ん中にある円柱らしき囲いの空間に入ると、自分の身長よりはるかに高い壁面にWovn Cityが投影され、その中に立っているような感覚になりました。どうにか伝えられないかと、OsmoやPixel4を駆使しましたが、あの空間の中の感覚を伝えるのは難しい。“はじめて生活に近い体験”としてのデモ感覚を得た気がして、ヤラレた感がありました。

トヨタ自動車が展示されているNorthHallから隣のWESTGATEまで、“スマートシティ”のエリアが続きます。このエリアには、農業や持続的なエネルギー、通信関連技術、モビリティなどの展示がありますが、その体験を得られるような展示は、単体のプロダクトでやはり難しいと感じました。

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本当に街中を走っていることをイメージできたTOYOTA e-palett

福岡市の「FUKUOKA Smart EAST」

今回はスマートシティエリアに、福岡市も出展していました。経済特区としてスタートアップ支援を行い、スタートアップビザ、税制優遇など、市として制度的な取り組みも実施してきた福岡市が、今回CESに出展していることが、トヨタ自動車の発表と重なり、スマートシティの潮流を感じました。

福岡市が展示していた「FUKUOKA Smart EAST」は、約50ヘクタールの土地を実装可能性のある技術の実証実験の場所として活用できるエリアでもあります。FUKUOKA Smart EASTの看板を掲げ、CES 2020のスマートシティエリアに展示したというのは、非常におもしろい試み。次回からこのエリアの空間体験も、一気に変わるのではないかと今から楽しみです。

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CES初出展のFUKUOKA Cityのブース

スタートアップが集まるEurekaエリア

CESのスタートアップエリアとして有名なのが、Sandsの1つ下のフロアにあるEureka(写真)です。元々は小型のブースに創業間もない企業が展示している印象でしたが、近年「French Tech」と呼ばれるフランス政府支援によるスタートアップの展示がきっかけとなり、国別対抗のようなが過激化しています。

「French Tech」の説明は、2017年に書かれた弊社エンジニアでもある池澤あやかの記事がわかりやすいです。Eurekaは、2019年には1200社のスタートアップが出展し、2012年から150万ドル以上もの投資がされたことが今回のCTAのキーノートでも発表されるほど、CESのイベント全体でもスタートアップの動きが注目されてきました。ものづくり系スタートアップにとっては、製品発表と販売リーチのための場所として心強いイベントです。

2019年にtsumugは、J-startupとしてCESのEurekaにはじめて出展しました。正直Sandsと比べて、具体的な話になることは少ないのではないかと思っていました。しかし蓋を開けてみると、CES2019のJ-startupブースは、連日国内外問わずメディアから投資家からひっきりなしに訪れる場所となりました。このときJ-startupブースには、3社もAward受賞企業がいたこともあり、メディアや来場者の興味が日本に向いたように思います。

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CES 2019のJ-Startupブースにて。世耕元経済産業大臣とスタートアップ企業の面々

大企業とスタートアップの提携

Snadsは私が見た2015年より、だいぶLVCCに出展しているような大企業が増えた印象です。LVCCでは既存製品の展示をして新規性のある展示はSandsでやる、といった企業も出てきました。

Sands出展企業が大企業に買収され、翌年その企業としてSandsに出展しているケースもあり、大企業とスタートアップの提携の場としてCESがあるということに感動していました。たとえば、CES初出展のアシックスとnnfの協業が発表され、Orpheがアシックスのブースに展示されていました。大手企業の経営者が、スタートアップとの取り組みに興味をもって、一緒に表現できる場としてCESを選んだ一例と言えます。

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CES初出展のアシックス・ブース

CES2021では、大手企業とスタートアップの提携ももっと増えてくるのではないでしょうか。

CEC2020で日本から参加したスタートアップ

2020年のJ-startupブースも、個性的なスタートアップ展示が並んでいました。

ブース入り口には、日テレのアンドロイド女子アナ「アオイエリカ」がCES2020に着物姿で立っていましたが、その様子は握手会に疲れたアイドルのように、一点を見つめた表情のツンデレな対応をしているように見え、それを海外の人たちが楽しんでいたのが印象的でした。

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2020年のJ-Startupブース

PLANTIOのCEO芹澤 孝悦さんは、2019年のプランターと一転、土に刺すタイプの新商品を展示。見に来た人たちには、デバイスの説明というより、コミュニティで野菜を育てるサービスとしての説明をしていました。

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PLANTIOの芹澤さんが説明する新製品

また今回は、ハードウェアスタートアップとしての先輩であり、リリースから海外でも大人気のGatebox代表取締役である武地実さんが現地入りしたとのこと。なので、満を持してヒカリちゃんとともに登場するのかと思いGateboxのブースに向かったところ、とんでもなくマッチョなアメリカ人っぽい男性が、Gateboxの中にいるではないですか。

これは、米国Keyshare Innovation Group(KIG)社と共同で行った海外向けのバーチャルコンシェルジュ・サービスのデモとのことで、あらためてGateboxのコンテンツに未来を感じる展示でした。

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奥のGateboxにはマッチョの男性が!
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CES2020でイノベーション賞を獲得した「Cuzen Matcha」
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CES2020で初展示のQooboの小型版Petit Qoobo(プチ・クーボ)と開発元のユカイ工学青木俊介さん

CES 2021の場所取りは3日目に

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来年のスペースを決めるSpace Selection

毎年CESでは、3日目に「Space Selection(写真)」で次の年の場所取りをします。その様子はまるで“競り”のような雰囲気です。

CTAの加盟企業は、CESの参加頻度やAwardなどの実績をもとにポイントが付けられ、そのポイントで順位が決まり、その順番で場所が取れる仕組みになっています。来年CTAが用意しようとしているエリアのカテゴリーも、そこで見ることもできます。CESの興奮冷めやらぬうちに次の年に向けた計画を考えることになるので、年始のイベントして理想的です。

次回はより「スマートなんとか」の具体的な体験が見れる展示が増えるのではないかと思います。今回も5GやAIなども個別の技術の“できる”を見ることができ、技術の組み合わせも増えてきました。企業間での提携もまだまだ増えていくでしょう。

“できる”イメージが作れれば、それは可能になる

私は今までのCES参加を通して、「できるイメージが作れれば、それは可能になる」という“実感値”をもらえたと感じています。「スポーツ選手が人類に不可能な記録やパフォーマンスに対して“できる”が見えたときに“それ”が超えられる、だからあえてその記録を作ることもある」という話を聞きました。CESは、ものづくり企業に超えるための“できる”イメージを、より具体的にさせてくれる場所だと思います。

CES 2021もまた、おもしろいことになりそうです。今回テクノロジーの紹介記事ではなく、自分の興味範囲を思うがままに書いてきましたが、ものづくりに関わっていながら、いまだにCESを体感できていない人にとって、参加するきっかけになればうれしいです。

Tsumugでは、2021年のCESで、なにかしたいと考えているので、その際一緒にExhibitor Badgeで参加してくれる人を今から募集します。興味のある人はぜひ連絡してください!

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CES 2018のときのtsumugブースにて。展示スタートアップ企業と一緒に

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