フリーランス転身の理由は「バイクの練習時間を増やすため」──アプリエンジニアのジェゲデ・ゼック:tsumug historie

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表彰台中央にいるのがtsumugアプリエンジニアのジェゲデ・ゼカライヤ

Zechariah Dzegede(姓:ジェゲデ、名:ゼカライヤ、以下:愛称ゼック)は、2学年の飛び級入学を果たしたコーネル大学卒業後、Intelへ入社。その後、日本での就職を見据えて選んだ転職先はグリーの米拠点でした。

現在はフリーランスのエンジニアとして、tsumugでコネクティッド・ロック「TiNK(ティンク)シリーズ」のAndroidアプリを開発しながら、ハードウェアベンチャーのCerevoでもパラレルワーク、さらにプロのロードレーサーを目指してレースにも参戦しています。

tsumugメンバーの半生を振り返る連載企画「tsumug historie」。ゼックの第4回は、グリー米拠点から日本法人への転職を目指すところから始まります。しかし、そのもくろみはいきなり崩れることに──。

第1回〜第3回はこちら
edge.tsumug.com

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ゲームプラットフォームの衰退で、グリー日本法人への移籍が困難に

2012年の夏にIntelを辞め、約1ヶ月間の日本旅行を終え、グリーのサンフランシスコの拠点に転職しました。ただ、サンフランシスコにいたのは約半年で、日本との交換プログラムを利用して日本の拠点へ移動します。日本の拠点にいたのも約半年なので、合計で約1年でグリーを退職することになります。

日本に移ったのは2013年4月、22歳の時です。プライベートではマコ(真琴)との遠距離恋愛から普通の恋愛に変わりました。前回、マコはサンフランシスコの大学院への進学を考えていたと書きましたが、新しい仕事の依頼があり、大学院には行きませんでした。もしサンフランシスコへ行くことになっていたら、2人がちょうど日米入れ替わるところでした。

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2013年、九州でツーリングした際の写真(左が妻の真琴)

当時の日本のモバイル市場は大きな転換期で、勢いのあったグリーの業績が急速に悪化しました。それまでは、グリーだけでなく、ディー・エヌ・エー(DeNA)の「Mobage」、ミクシィの「mixiゲーム」などSNSベースのゲームプラットフォームが力を持ち、拡大を続けていました。「ソーシャルゲーム」という言葉が普及したのもその頃だと思います。

ところが、SNSベースのプラットフォームは廃れ始め、Google PlayやApp Storeでの直接配信が主流になり始めました。SNSのプラットフォームに乗らなくても稼げるようになったんですね。日本では「パズル&ドラゴンズ」などがそのはしりかもしれません。

私はグリーが買収した「OpenFeint」とグリー独自プラットフォームの統合に取り組むチームに6ヶ月間いましたが、最終的にはうまくいきませんでした。プラットフォームがほとんど利用されずに終わってしまい、またもや私が携わった仕事にはユーザーの反響がなかったことになります。タイミングが悪かったのでしょう。

私はグリーの日本拠点への完全な移籍を考えていましたが、それももはや不可能になりました。人材を増やすのではなく減らす方向に舵を切り始めたからです。私もアメリカに帰らなければならなくなりました。

ですが、前回までの記事でも書いたように、アメリカに戻ってしまうと日本の会社への転職は難しくなります。面接すら困難ですから、日本にいる間に転職先を見つける必要があります。

彼女のツテでIoTベンチャーに レーサー向けIoT開発

そこで、交際していたマコのツテを頼りました。すると彼女の知人(現在、for Startups, Inc.代表の志水 雄一郎さん) が技術系の人材バンクに勤めていて、IoTベンチャーのLEOMO(リオモ、当時の社名はレモネード)を紹介してくれました。私の職歴の中で一番長く所属していたのが今のところリオモです。そこで、ある人と運命的な出会いを果たしますが、それは後で紹介します。

リオモは2012年に加地邦彦さん、孫泰蔵さんらによって設立されたIoTベンチャーで、スポーツIoTデバイスの開発や、それに連動するサービスなどを手掛けています。その中で私が主に携わった製品は自転車ロードレーサー向けの「TYPE-R」です。

自転車競技者向けの製品で、自転車のハンドル(もしくは手首)に取り付けるデバイスと競技者の体に取り付けるセンサーデバイスで構成されています。

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自転車ロードレーサー向けデバイス「TYPE-R」(リオモのウェブサイトより)

一般的なサイクリングコンピュータと同様のデータに加えて、競技者自身の体のデータを同時に測定し、分析できることが大きな特徴で、専用デバイスとAndroidアプリの開発に携わりました。ここで、ようやく世に出た製品に関わった気がします。

少し、バイクの話もさせてください。日本に来てすぐホンダの「VFR400R(1989年)」というバイクを購入しました。スイングアームが片側だけについているバイクで、横からの姿がとてもきれいです。フロントタイヤが17インチ、リアが18インチという、ちょっと変わった構成で、排気量は400ccです。このバイクであちこちツーリングしました。

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ホンダ「VFR400R」

「レースに出てみれば?」運命の出会い

リオモでは仕事も充実していましたが、私の人生に大きな影響を与えた人物とも出会いました。それがKeyさんです。

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現在、tsumugとCerezoの2社でパラレルワークをするエンジニアのkeyさん

当時リオモに所属していたKeyさんはその後ハードウェアベンチャーのCerevoに移り、今ではtsumugとのパラレルワークをしています。私も同じ道をたどり、現在は同じ2社でのパラレルワークをしています。

彼の勧めで私は、レースへの参戦を始めたのです。VFR400Rでのツーリングを楽しんでいた私ですが、リオモ入社から半年ほど経った2014年頃、Keyさんから「レースに出てみれば?」と言われました。当時はプロを目指していたわけではなく、純粋にうまくなりたかっただけだったのですが、これを機にますますのめり込んでいくことになります。

バイクの練習時間を増やすためにフリーランスへ

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自宅のガレージにあるバイク

バイクのレースに参戦し始めたことで、バイクをもっとうまく走らせたいという気持ちが増してきました。もっと練習したい、もっと速く走りたい、と。ですが、そのためには練習走行を定期的にしっかりと行う必要があります。

私は主に水曜日に、通っている筑波サーキットで開かれる走行会に参加しています。できれば毎週水曜日に筑波サーキットで走りたかったのですが、普通の雇用形態では毎週毎週休むことはできません。

そこでフリーランスに移行することを決めました。その後、リオモを辞めてCerevoに移る際には自由に働けるように最初から頼みました。水曜日は休みにし、毎日同じ時間にオフィスに行かずに済むようになりました。

2016年11月にCerevoに参加しますが、実はCerevo参加前にtsumugに入る可能性もありました。当時の私はホームIoT、自宅の家電のスマート化に大きな関心を持っていて、色々と調べる中でtsumugにも興味を持ったからです。ですが、その時点ではtsumugも人員拡大のステップになく、結局その話は実現せず、翌2017年9月にtsumugに参画することになります。

パラレルワークの状態で、それが現在も続いています。曜日ごとの基本スケジュール*1は次のようなものです。

・月曜日:Cerevo
・火曜日:tsumug
・水曜日:サーキットでの練習走行
・木曜日:Cerevo、たまにtsumugのミーティング
・金曜日:在宅でtsumugの仕事
・土曜日:フリー
・日曜日:フリー

ミーティングなど必要に応じてオフィスへ足を運びますが、そうでなければtsumugの場合は在宅ワークが認められています。どちらの会社でも主にAndroidを扱う仕事に携わっていますので、コンピューターがあればどこでも仕事はできます。また、必ずしも上のスケジュールではなく、月曜日に家でtsumugの仕事をすることもありますし、柔軟に仕事をできる環境にあります。

水曜日は筑波サーキットで練習走行したり、バイクのメンテナンスをしたりとさまざまですが、主にバイクのための1日です。土曜日と日曜日はフリーと書きましたが、レースは基本的に週末に開催されるので、その際はレースに出場します。

目指すはプロのライダー

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フリーランスに移行し、前述したスケジュールでの生活を始めた頃は、まだプロのライダーを目指していたわけではありません。その時も純粋に、速くなりたい、そのための練習時間をしっかりと確保したい、という思いが強かっただけです。ですが、今ではプロのライダーになりたい、という段階にまで進んでいます。

バイクのレースに詳しくない方のために二輪ロードレースの世界を簡単に紹介したいと思います。二輪ロードレースにはトップカテゴリーである世界選手権シリーズがあります。その一つは「MotoGP」を最高峰クラスとするロードレース世界選手権です。「MotoGP」の下に「Moto2」、その下に「Moto3」と、排気量別に3つのクラスがあります。これらのレースはCS放送の「日テレG+」、BS放送の「BS日テレ」、動画配信サービスの「Hulu」、MotoGPの公式有料サービスなどで視聴できます。このロードレース世界選手権ではレース専用に開発されたマシンを使います。もう一つはスーパーバイク世界選手権です。こちらは市販車を改造したバイクで戦います。スーパーバイク世界選手権は有料のCS放送「J SPORTS」で視聴できます。他にも耐久レースなどを含めて二輪のシリーズは色々とあります。

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レース用のウェア

私が今年参戦しているシリーズは、筑波ロードレース選手権、もてぎロードレース選手権、そして7月開催予定の鈴鹿4時間耐久ロードレースです。これらの選手権は車種ごとにクラスが分かれていて、私は「ST600」というクラスに参戦しています。

ST600では、バイクメーカーの最新のロードスポーツモデルが主力となっています。エンジンは4ストロークの600ccが主力で、マシンを改造できる範囲はレギュレーションで厳しく制限されています。私のマシンはヤマハの「YZF-R6」です。レースに出場し始めた頃、色々なバイクを試しましたが、現在はYZF-R6で戦っています。

先日、「筑波ロードレース選手権」と「もてぎロードレース選手権」で目標としていた40ポイント以上を獲得し、上のカテゴリーの全日本ロードレース選手権への参戦権を得ることができました。筑波ロードレース選手権の第1戦では、予選でポールポジション(1位)を獲得し、決勝レースでもそのままポール・トゥ・ウィン(ポールポジションから出発し、そのまま優勝すること)を飾ることができ、5月のもてぎ2戦目でも優勝、6月の筑波2戦目もポール・トゥ・ウィンで優勝することができました。

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来年の目標は、ST1000で全日本へのフル参戦です。そのために現在、協力していただけるスポンサー探しに奔走しています。

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筑波ロードレース選手権の第1戦で優勝した

筑波ロードレース選手権の観戦チケットは大人が1,000円です。パドックまで入ることもできます。中高生は学生証の提示で無料ですし、小学生以下のお子さんは父兄同伴で無料です。関心がある方はぜひ足を運んでみてください。バイクのレースは4輪のレースとはまた違った面白さを持っています。スピード感のあるスリリングなレースなので楽しめると思います。

さて、それでは最終回となる次回はtsumugでの仕事、IoTへの関心が高じて作ったIoTホームをご紹介したいと思います。

最終回へ続く
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社長の牧田恵里の「tsumug historie」はこちら
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*1:6月より再びリオモで働き始めることになり、スケジュールはやや変化している

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