DIYのクラブカルチャーとMakerをつなぐ「Akiparty 2019 Tokyo」

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老舗ネットレーベルであるマルチネレコーズ主宰の@tomadと私が、2014年から主催しているギークカルチャーとクラブカルチャーを結ぶイベントAkiparty。2019年も8月10日に、秋葉原のライブハウスMOGRAでAkiparty Tokyo 2019が開催され、100名あまりの参加者が音楽とDIYの共演を楽しみました。

DIY音楽、つけたまま踊れる展示

Make(ものづくり)には、いくつかパフォーマンスアート的な要素もあります。たとえば私がMake系のイベントに行くときは、なるべく目立つ格好をします。作品と作者が不可分で、とにかく目立つ人もいます。「ギークのためのダンスパーティ、Dance party for the rest of us」をスローガンにしているAkipartyでは、そういった人が「ライブハウスに工作物を持ち込み、目立つ格好をして踊る」ことを目的しています。

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ステージ上よりも客席に光りものが多いAkipartyでのライブ。

また、ライブハウスで行われ、プロミュージシャンがパフォーマンスするイベントではあるものの、観客と出演者の垣根はなるべく低くしています。そのせいか、ステージ上にMakerが上がる時間や、ミュージシャンが客席にダイブする時間がしばしばあります。



ステージ中央で「自動ルービックキューブ」を披露する蕪木さん。ローリングサンドイッチマンも大喝采を浴びた。



ライブ終盤、客席のメイカーたちに飛び込んだミュージシャンのToriena。
クラブ内ではTwitterで会話、強力なWi-Fiも完備

音の大きいクラブイベント内ではTwitterで会話することが多いのですが、会場のMOGRAは強力なWi-Fiが敷設されていて、そういった意味でインターネットとテクノロジーとの親和性が高いクラブです。地下のライブハウスに加えて1Fはバースペースになっていて、そちらでは展示イベントが行われてました。当日のTwitterまとめには、インパクトのある作品がたくさんアップロードされています。

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Maker Faire Tokyoほかさまざまなイベントでおなじみ、@create_clock氏の前骨格とカサネタリウム氏の光るきつね面

さらに、事前審査がなく当日持ち込みでも出展できることや、クラブ/ライブハウスという特性上、コスプレなどへの規制が緩いことから、理解しがたいもの含めた多様な出展物が並ぶ展示フロアと客席になりました。

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サイバーパンク感満載の改造ひょっとこお面

ネットレーベルとDIYカルチャー

インターネットの黎明期から「ネットレーベル」という活動がありました。自作音源をインターネット上に(ほとんどは無料で)アップする活動です。飛ばし読みができない音楽というジャンルでは、レーベル主が目利きとしての果たす役割は大きく、1990年代後半から今に至るまでこの流れが続いています。

2010年以降は、ネットレーベルの主宰イベントで数千人の動員を記録することや、メジャーデビューするネット出身のミュージシャンも珍しくありません。

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Akipartyの共同オーガナイザーで、ネットレーベル大手マルチネレコーズ主宰のTomad。Akiparty Tokyo 2019ではオープニングアクトも。

自作音源の元になるDTM音楽(後述)も、インターネットの普及とともに進化してきました。3Dプリンター、レーザーカッターなどのデジタル工作機械は、デスクトップ・ファブリケーションと呼ばれます。この「デスクトップ」という言葉は、工場での製造への対比です。

それまで政府や企業が所有するのがあたりまえだったコンピューターが、個人所有できるようになった“パーソナル”コンピューターと同じく、限られた大組織のものが個人やDIYに降りてくる象徴的な言葉です。

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クラウドファンディング中の自作シンセ「パリピデストロイヤー」でパフォーマンスしたDigiLogTokyo

デスクトップ・ファブリケーションの先輩として、デスクトップ・パブリッシング(DTP)やデスクトップ・ミュージック(DTM)があります。いずれも専門機械や音楽スタジオが必要だった出版や音楽制作が、個人の卓上に降りてきました。デスクトップと工場で作られるものが異なるように、DTMもスタジオでの音楽作成とは別のアウトプットが目立ちます。

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自作のシンセサイザーやPSMOVEを用いたCa5のステージ。

クラブカルチャーとMakeカルチャー

会場になった秋葉原のMOGRAは、今年で10年目を迎えます。アニメソングやゲーム音楽などが中心の、普通のクラブでかからない音楽が中心の、新しい形のクラブカルチャーを志向してきました。また、コスプレやゲームなどと連動したイベントも多く開かれています。

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コバルト爆弾αΩのステージでライブペインティングしたアーティストの愛☆まどんな

そうした新分野への進出や他分野の融合は、Maker Faireやメイカースペースが促すカルチャーと一部通じるところがあります。AkipartyのDance party for the rest of usというスローガンは、Macintosh登場時のオマージュでもありますが、「普通のクラブに行けない人のクラブ」というMOGRAのカルチャーへのリスペクトでもあります。

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自作楽器に加えて、巨大な7セグLEDを身体につけてBPMを可視化し、インタラクティブに光るドラを叩くパフォーマンスで会場を盛り上げたピアノ男のステージ。

中国でも盛り上がったAkiparty

中国のメイカーバブルが盛り上がり、さまざまなメイカーフェアに日本からの出展者が招待されていた2015-2016の間は、Akipartyは深センほか海外でも公演されていました。中国のメイカーバブルは今AIバブルにターゲットを変えましたが、当時はなかったこうしたアングラなクラブカルチャーが、深センなどでも盛り上がりつつあります。

音楽はMakeと同じく、言葉を離れて人を楽しませる効果があります。今後、海外からもAkiparty的なイベントは盛り上がってくるのかもしれません。




深センで行われたAkiparty Shenzhen 2015のステージ画像。

文・写真:高須正和

無駄に元気な、Makeイベント大好きおじさん。DIYイベントMaker Faireのアジア版に、世界でいちばん多く参加している。日本と世界のMakerムーブメントをつなげることに関心があり、日本のDIYカルチャーを海外に伝える『ニコ技輸出プロジェクト』や『ニコ技深圳コミュニティ』の発起人。 MakerFaire 深圳(中国)、MakerFaire シンガポールなどの運営に携わる。現在、Maker向けツールの開発/販売をしている株式会社スイッチサイエンスのGlobal Business Developmentとして、中国深圳をベースに世界の様々なMaker Faireに参加。インターネットの社会実装事例を研究する「インターネットプラス研究所」の副所長、早稲田大学非常勤講師。 詳細はこちら

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