tsumugの提供する「TiNKシリーズ」は、インターネットで鍵の管理ができるデバイスです。
スマホから同居人用の鍵発行や来訪者用のワンタイムキー(一時的な鍵)の発行、入退室の履歴を確認したりするなど、さまざまな操作ができます。
こうしたスマホからの操作を実現しているのが、TiNKに内蔵されているIoTプラットフォームサービス、sakura.ioの「さくらの通信モジュール(LTE)」です。
電源を入れるだけでインターネットと通信できる
「さくらの通信モジュール(LTE)」は、携帯電話で使われているLTEの電波を使ってインターネットと通信する部品です。このモジュールは、レンタルサーバやクラウドサーバを扱う、さくらインターネット株式会社が提供しています。
TiNKは、このモジュールを使ってインターネットと通信しています。LTEの電波を使っているので、電源を入れるだけで、すぐに通信できます。
このようなデバイスにおいて、通信にWi-FiやBluetoothを使う場合は、通常どうしても初期設定が必要になります。TiNKはLTEを使っているため初期設定が必要なく、ドアに設置してバッテリを差し込むだけですぐに使えるのが、大きな特徴です。
セキュアな通信
スマホから鍵を管理する場合、その制御信号は、この「さくらの通信モジュール(LTE)」を経由して流れることになります。ここで気になるのが安全性です。誰かが通信を乗っ取って、鍵を開けるという信号を送信しないとも限りません。
しかし安心してください。この通信モジュールでは、そうしたセキュリティも十分に考慮されています。
さくらの通信モジュール(LTE)がデータを送受信する相手は、さくらインターネット社が運営しているデータセンターです。このデータセンターとは、LTE通信の閉鎖網を使って通信します。簡単に言うと、携帯電話の基地局を経由した通信です。携帯電話での通話は第三者に盗聴されないように構成されています。そのため、通信モジュールの通信内容も、データの傍受や割り込み(偽造)することができません。
そして、データセンターから先のTiNKのサーバ、そして、みなさんのスマホとのやりとりは、SSL/TLSというインターネットの暗号化技術で暗号化して送受信します。
このようにTiNKでは、鍵という大事なものを扱うため、セキュリティにも十分な配慮がなされています。
移動しても使える
TiNKはLTEでインターネットと通信しているので、自宅や事務所など決まった場所だけでなく、常に移動するようなものでも利用できます。
移動しながら使えるというTiNKの特徴を活かしたサービスが、2月から提供を開始したシェアサイクルの「メルチャリ」です。メルチャリは、メルカリのグループ会社である株式会社ソウゾウと共同開発したシェアサイクル用コネクティッド・ロックが搭載された自転車のシェアサービスで、駐輪場などに置かれた自転車をスマホの操作で借りることができます。
メルチャリは、「TiNKシリーズ」のディベロッパーキットである「TiNK DVK」を使っています。メルチャリについているQRコードを専用のアプリで読み込むと、自転車の鍵が解除されて使えるようになります。
こうしたことができるのは、TiNKがWi-FiやBluetoothではなく、どこにいても通信できるLTEを採用しているからです。もしこのデバイスがなければ、自転車を管理するための大がかりなステーションが必要になるでしょう。
趣味の電子工作でも使える
実は、さくらの通信モジュール(LTE)は、市販されていて、さくらインターネットのサイトやAmazon.co.jp、電子パーツショップなどで、1台から購入できます。
このモジュールを使えば、「インターネットから操作できる電子工作」が実現できます。たとえば、スマホで操作して音を出したり、モーターを操作するような電子工作を作ったり、温度センサーなどを取り付けて、部屋の室温をインターネットから常時監視するような電子工作を作れます。
さくらの通信モジュール(LTE)は、個人だけではなく、小規模ロットのスタートアップ開発などでも活用が期待できます。