株式会社tsumugが発売するコネクティッド・ロック「TiNK」は、アプリからキーシェアリング機能で他の人に合鍵を発行したり、一時的に使えるワンタイムキーを発行したり、外出先からでも玄関の出入りの履歴が確認できたりと、さまざまな場面で活用されることが想定されます。
では、海外の「鍵デバイス」事情はどうなっているのでしょうか。今回は中国の深センで感じた、シェアバイク事情をお届けします。
中国版シリコンバレー「深セン」
深センは、中国の広東省に位置する“中国版シリコンバレー”と呼ばれる場所。昔の秋葉原を彷彿とさせる電気街(華強北)などがあります。さらに、近年では最先端の技術を開発する会社が集っていることから、こう呼ばれるようになりました。
香港と接し、経済特区に指定されている深センですが、その歴史は意外と浅く、成立は1979年、中国の改革開放政策の過程で誕生しました。
それゆえ、別の地域からの移民が多く、実際街中を歩いていると、その多くが若者であることに気づきます。華強北のビルには、細々としたお店がたくさん入っているのですが、その店員も多くは若者でした。
また、工場も多く存在するため、「世界の工場」とも呼ばれたりします。香港からも近く、海外から訪れやすいのも、そう呼ばれる所以でしょう。
支払いはほとんどWeChatPay
深センで買い物をするといちばん驚くのは、現金をほとんど使わなくても良いというところでしょう。
日本でも最近は電子マネーで支払う機会も多くなってきましたが、深センの場合はそれ以上です。お店はもちろん、街中の露天商でさえ、WeChatPay(微信支付)やAliPay(支付寶)で支払うことが可能です。
また、割り勘などの機能もついており、友人同士で食事をしたときなどもとても便利です。深センに言ったらこれらは必須のアプリと言えるでしょう。
深センの住民の”足”となっているシェア自転車
さて、深センの街中を歩くと、至るところにシェアバイクがあります。朝のラッシュ時になると、シェアバイクで移動している人も多く見掛けます。シェアバイクが如何に深センの足になっているのかがよく分かります。
深センには、北海道ですでにサービスが始まっているMobikeの他に、つい先日和歌山や福岡で始まったアリババ系列のofoもありました。
実際にMobikeに乗ってみたのですが、思った以上に快適でした。また、季節が良かったのか、あるいは朝に走ったのが良いのか、とても気持ちの良い時間を過ごせました。
ただ、深センは都会に行くと、車の交通量も増え、横断歩道よりも地下道が多くなるため、その上り下りが意外と大変でした。あと、一部の場所では自転車の乗り入れが禁止の地域もあるので、その辺も注意が必要です。
そして、中国は道があまり良くないところもあり、ガタガタした道を走らなくてはいけない場合もあるのですが、そのためかタイヤは空気を入れるタイプのものではなく、全面ゴムで出来ていて、パンクしないようになっていました。


中国で見えてきた、シェアバイクの発展と課題
深センに行って感じたのは、街のあらゆるものがネットワークに紐付いているということです。何をやるにもスマホがないと出来ない、というのはある意味怖い部分もありますが、逆に言えば、これほど便利なこともありません。
深センのシェアバイクも、ネットワークと紐付いているため、どこからでも乗れてどこへでも乗り捨てられます。大きなステーションが必要ないのは、「TiNK DVK」を搭載した「メルチャリ」とも共通する非常に大きなメリットです。
しかし、その一方で、至るところで自転車が倒れてたり壊れていたりと、街の景観としてはあまり良くないことになっています。
また、すべてのシェアバイクが上手くいっているわけではなく、ある地域では、シェアバイクの廃棄の山が出来上がっていました。
このような問題に対して、福岡でサービスが始まっているメルチャリでは、自転車に内蔵されたGPSで常時自転車の駐輪場所を把握し、 サポートトラックが放置・違法駐輪の自転車や故障車を移動・回収したり、利用客による違反報告や自主的な放置自転車の移動などのアクションに応じて、 メルチャリ内で貯まるマイルやメルカリポイントを付与 したりと、街の景観を損ねないようにする工夫がなされています。
国内外に関わらず、シェアバイクの文化がより一層発展していくことを期待したいところです。